建てることと生きること

2021.08.29

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今月号の新建築 住宅特集で千葉学さんの「父の家」が掲載されていました。
千葉さんは福井県でも「敦賀駅交流施設オルパーク」などで知られています。(自分はまだ見に行ったことはありませんが...)お名前は以前からよく知っていますし、雑誌にも本当によく掲載されていますが、今まで自分は千葉さんの建物に特別な興味がなかったのも事実です。ですが今回の特集論考1「建てることと生きること」を読ませて頂いて久しぶりに何とも言えない素敵な気持ちになりました。
千葉さんの自邸であり、実の父親のために建てた家のプロセスが書かれているのですが、千葉さんのお父さんの息子愛みたいなのが随所に見られて、それにこたえようとする設計者であり息子である千葉さんの感情にも引き込まれました。
「最後くらいは息子の設計した家に住みたい」「30年以上別々に暮らしてきたふたりがそう簡単に上手くいくはずもない」「一軒の家でいいじゃないか」このあたりのワードで心をつかまれ、「足腰が覚束ない父が少しでも快適に過ごせればと、こちらが気を利かせて床はカーペットがよいかと提案すれば、コンクリートでいいじゃないか、1階は土足でも構わないという。僕の趣味の道具が父の領域を侵食してはいけないと建具で仕切ろうとすれば、むしろ部屋中にその道具があふれる方が面白いという」このあたりで気持ちを鷲掴みにされました(笑)
その後も親子の気配を感じれる吹き抜けについてや、生まれ育ったご近所の迷惑をかけたくないこと、千葉さんが実家に放置していた学生時代の作品やノート、絵や彫刻をお父さんが丁寧に保管していたこと本当にいいものを読ませて頂きました。最後の〆の部分「父は老いた。しかし...」は最高でした。

10年くらい前になりますが友達の結婚式が静岡であり、深夜3時頃出て早朝からいろいろ静岡の建築を巡った時に富士宮市の「日本盲導犬総合センター」にも行きました。
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すごくいい場所でした。
コロナ落ち着いて仕事が落ち着いたらまた建築見に行きたいです♪

今回は塚本さんの「ハハ・ハウス」が掲載されていて、隣の「アニ・ハウス(1998年)」も当時何度も何度もみた物件だったので関係性など特集論考2も興味深かったです。

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アニ・ハウスとハハ・ハウス

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当時の新建築住宅特集(9802)アニ・ハウス

現在は生活スタイルや家族の関係性も変化しており、圧倒的に同居するという形態が減っていますが、都会にいても田舎にいても両親が歳を取れば子供が何かしら一緒にいなければいけない、とにかく会う機会が増えてきます。そしてそこでまた家族の感情も生活も変わっていくように思えます。それぞれの価値観やその時の状況にもよりますが、人生の終わりにも建築はとても重要な役割を果たすと今回住宅特集を通して改めて思いました。
新建築 住宅特集9月号 特集/母の家・父の家 とても面白かったです。ぜひ皆さんもご覧ください♪