泥棒みたいな人が出てくる素敵なお店
2021.06.19
もう10年以上通ってます。と言っても年に4回は必ずで、その他にも行くことがあればという程度です。最初に言っておきますが、うちが設計した物件でも施工した物件でもありません。今回は好きなお店の紹介ということで・・・(すみませんかなり長文です)
最初に行くきっかけは、結婚して何度目かの結婚記念日に、うちの奥さんから「たまには花束でも持って私にいつもありがとうとかないの?」と言われたことです。
結婚記念日はお互いがいつもありがとうこれからもよろしくということかと思っていました。いつも掃除も洗い物も洗濯も子供のことも半分くらいの家事はやっているので自分には?というのが正直な気持ちでした。
奥さんの誕生日は頑張ってやるほうなので、その10日後の結婚記念日はいつもより少し高いお酒でもとしか思っていませんでした。言われてカチンときて挑んだ翌年の結婚記念日でしたが、花屋さんに行ったことが無い自分はショッピングセンターの中の花屋さんしか知らず、作業服で仕事帰りに行けるわけもなく、なんとなく頭に浮かんだのが武生高校近くのお花屋さんという名前のお花屋さんでした。
めちゃくちゃ緊張して電話して時間を伝えて花束の相場もわからず、言われるままにお任せで三千円か四千円の花束を頼みました。6時半ころ店に取りに行くとすごいメイクのおばちゃん(すみませんただお姉さんという感じではないかなと...)が花束を渡してくれました。とても素敵でした。全然花を知らないし、花束を渡すなんて101回目のプロポーズとかでしか見たことが無い自分は、これからの行動のハードルの高さにオドオドしてしまいました。
まず店を出て車に積むという作業です。お店の場所を知っている方は想像できると思うのですが結構車が通る交差点です。店を出ると自分と同じく仕事帰りの信号待ちの車が花束を持った作業服の自分を一斉に見ます。自分は泥棒のように小走りでライトバン(自分の仕事兼自家用車)に花を積みます。「あの人今から告白でもしに行くのかな」とか思われていないか、知り合いに見られていないか、いい年して顔が真っ赤になります。(今でも毎回小走りで、お花屋さんから花を盗んだ人に間違われないかと心配になります)
ホッとしたのもつかの間で、家に到着すると車から玄関まで花を持って入る作業があります。自分の家も県道に面した交差点です。こそこそ隠しながら家に入るのも恥ずかしいのですが、堂々と花束を持って家に入るのを近所の人や信号待ちの知り合いに見られるのが本当に嫌で、結局コソコソしています。今でも同じです。
そんなこんなを全く忘れさせてくれるくらいうちの奥さんは喜んでくれます。そして娘も。
女の人ってやっぱり花が好きなんだなと思っていましたが、あれから十数年経ってくると分かってきたのが、お花屋さんのお花が素敵なんだなということです。
花に詳しくない自分もやっぱり他とは違うなと感じはじめ、お客様に差し上げても喜ばれるし、自分よりもさらに花に興味ない息子までも「こんなきれいな花束どうやって注文するの?」って聞くようになりました。
ゼネコンの新入社員だったころ自分の教育係としてついていただいた沖縄出身の先輩から「建設業はセンスが重要。図面に書かれていない程小さなことや直接関係ない仮設などいろんなことの積み重ねから建物が出来て道路が出来ている。どんな作業もセンスがいい人と何も考えずにただやる人とでは全く違う。同じ設計図の構造物を造ってもセンスがいい監督が監理すればいいものが出来る」その通りだと自分はいつも思っています。そしていつもそのことを大切にして現場を監督しています。今まで職人さんに「どっちも同じやろ!」と何回言われたか分かりません。自分のポリシーというかなんというか。大切にしていることです。
センスってとても大切だと思います。自分の意見ですがそれは持って生まれた才能ではなく、常日頃において些細なこともどれだけ大切にしているかだと思います。その積み重ねでより良い判断が出来、センスのいいものになるのだと思っています。
個人の価値観やその場所の風土やいろいろなことも関係してきますが、自分は自分の価値観でよりいものにしたいと思って現場に取り組んでいます。
お花屋さんはセンスのかたまりです。以前はお花屋さんにいくと緊張してあまり店の中も見れなかったのですが、どこを見ても何もかもが素敵に感じます。ここまでのお花屋さんになるにはすごい努力があったんだろうなと勝手に思っています。そして花束を見るたびに自分ももっとセンスが良くなるよう日々努力しようと思います。これからもお世話になります。
話がすごく長くなりましたが本当に素敵なお花屋さんです。ぜひご興味のある方は行ってみてください。